日本にはしじみが獲れる産地がいくつも存在します。全盛期に比べると総漁獲量は減っていますが、北海道にもしじみの産地が主に4つあるんです。今回は「北海道のしじみってどこで獲れるの?」という疑問にお答えします。
北海道のしじみ漁を代表する網走湖
一級河川である網走川から水が流入し、滞留した後、また網走川に流出してオホーツク海に流れていきます。オホーツク海とつながっているため、潮の満ち引きで湖底には海水層、上層には淡水層が織りなされ、網走湖ならではの汽水域を形成。生物にとっては過酷な環境ですが、そこで育った網走湖のしじみは、他にはない味わいがあります。
位置 | 北海道網走市および網走郡大空町 |
面積 | 32.28平方キロメートル |
最大深さ | 約16.8メートル |
水質 | 汽水 |
動植物 | しじみ、ワカサギ、コイ、ウグイ、アメマス、ヌマガレイ、スジエビ、アオサギ、ハンノキ、ミズバショウなど |
特徴 | ・日本でも有数のアオサギ・冬は湖一面が凍ってワカサギ釣りスポット |
イトウ釣りの聖地として知られるパンケ沼
パンケ沼は、アイヌ語で「下にある沼」という意味です。パンケ沼の北にあるのは「上にある沼」であるペンケ沼があります。かつては500トンを超えるしじみの漁獲量を誇りました。しかし残念ながら近年のパンケ沼は、塩水環境の変化により、しじみの生産量が非常に深刻です。しじみは、塩分濃度・水温・溶存酸素・底質粒度組成の絶妙なバランスに左右されるとても敏感な生き物なのです。
位置 | 北海道幌延町字下沼のサロベツ原野(天塩川下流域) |
面積 | 3.55平方キロメートル |
深さ | 約1.8メートル |
水質 | 汽水 |
動植物 | しじみ、フナ、テツギョ、ショウジョウバカマ、エゾミソハギ、エゾカンゾウ、ヒメシャクナゲ、ハクチョウなど |
特徴 | ・イトウ釣りでも有名・沼から利尻富士が見える |
一度はカヌーで川下りをしてみたい天塩川
日本で4番目に長く、北海道遺産にも指定されている一級河川・天塩川。日本海とつながっているため、汽水域や汽水域にしじみが生息していますが、再生産の減少が懸念されています(参考:「天塩川における塩水遡上とヤマトシジミ生息環境に関する研究」)。
位置 | 上川総合振興局・留萌振興局・宗谷総合振興局にかけて |
延長 | 256キロメートル |
流域面積 | 5,590平方キロメートル |
水質 | 淡水~汽水 |
動植物 | しじみ、イトウ、サケ、ニジマス、ウグイ、ヤマメ、コイ、ヌマガレイ、チョウザメ、エゾカンゾウ、オオヒシクイ、オジロワシなど |
特徴 | ・未開拓の自然がいまだに多い・イトウ釣りスポット・カヌーの聖地としても有名 |
日本3大河川の雄大なスケール石狩川
利根川に次いで全国2位の流域面積を持ち、日本三大河川の一つとして数えられる石狩川。北海道開拓の歴史は、石狩川と共にあります。河口域にはしじみが生息していますが、塩分濃度が安定しないためか、もともと漁獲量は多くなく、5トンがせいぜいだといわれています(参考:『石狩川のシジミを考える』)。
位置 | 上川盆地・石狩平野・石狩市・石狩湾にかけて |
延長 | 268キロメートル |
流域面積 | 14,330平方キロメートル |
水質 | 淡水~汽水 |
動植物 | しじみ、サケ、サクラマス、カワヤツメ、ワカサギ、ウグイ、フクドジョウ、ハナカジカ、キタノトミヨ、アカゲラ、オオジシギ、エゾサンショウウオ、ニホンアマガエル、エゾアカガエル、ミズバショウなど |
特徴 | 雄大な自然と多種多様な生物 |
しじみは絶妙なバランスの上で成り立っています。現在も漁として成り立っているのは、網走湖だけといっても過言ではないでしょう。