魚の下処理の基本!処理の仕方から必要な道具まで老舗の魚卸業が紹介

魚の下処理の基本!処理の仕方から必要な道具まで老舗の魚卸業が紹介

生魚は調理する上で下処理が欠かせません。

下処理するとしないとでは、魚の美味しさも大きく変わってくるのです。美味しく食べるために大事な工程なので、ぜひこの記事を参考に覚えてってくださいね。

教えるのは150年以上の歴史を誇る水産物商「マルチュウスマイル」。プロの正しい情報で食卓に美味しさをプラスしていきましょう。

魚を下処理することの重要性

魚は下処理をきちんと行わないとせっかくの料理が台無しになることもあるのです。

まずは、下処理する重要性をここで2つ紹介していきます。

1. 臭みを消す

魚は死んでしまった直後から「トリメチルアミン」と言う成分が発生します。魚の臭みは腐敗が進む過程で「トリメチルアミン」と言う物質が増え、アンモニア臭が発生し所謂魚の臭みが出てきます。

下処理では内蔵を取り除く作業があります。内蔵や血合いはもっとも腐敗が進みやすい箇所なので下処理をすることでこの臭みの度合いは大きく変わってくるのです。

2. 口当たりを良くする

魚の表面には鱗やヒレ、滑りなどが付いています。

つけたまま調理すると鱗の硬い部分が口に入って気になったり、滑りで美味しく感じられません。これらは下処理をすることで食感や口当たりがより良くなります。

更には小骨なども取り除くこともあるため、小さい子から年配の方まで美味しく食べられるようになります。

魚の下処理の準備・手順

ここからは魚の下処理の手順を、必要な道具から工程まで紹介していきます。

下処理に必要な道具

  • 包丁
  • まな板
  • バット2つ(お皿でも可)
  • キッチンペーパー

工程1. ウロコをとる

工程1. ウロコをとる

鱗はとっかかり部分があるため汚れや細菌が溜まりやすい場所です。しっかりと取ってキレイな状態で捌いていきます。

まず、まな板の上にキッチンペーパーを敷き、その上に魚を乗せます。まな板の上に直接魚を乗せ鱗をとると鱗が散らばりまな板にくっつき、後始末が大変です。

しかし、キッチンペーパーを敷いておくことで最後にキッチンペーパーに包んで捨ててしまえるのでまな板が汚れずに済みます。

鱗は包丁の背を使って取ります。

鱗は頭から尻尾に向かって無数に重なっていますので、それを逆撫でするように尻尾から頭に向かって剥がすとキレイにできます。表が終わったら裏側も忘れずに取りましょう。

工程2. 頭を落とす

工程2. 頭を落とす

頭を落とす際は上の図の線を参考にしてください。

胸ビレの付け根と腹ビレの付け根を結んだ線を目安に頭を落とすとキレイに捌けます。

頭を落とす時は頭周辺の骨は丈夫なので切りにくく、恐る恐る切ると背骨で包丁が止まってしまうことがあります。そうならないためには包丁の刃を滑らせながら包丁の深い位置で切ると力が入って骨まで切りやすいです。

工程3. ワタを取り出す

工程3. ワタを取り出す

ワタを取っていくので腹を割いていきます。包丁の先をワタと腹の間に差し込みながら、包丁の先を肛門に向かってゆっくりと差し込んでいきます。肛門から包丁の先が出たらそのまま差し込み続けます。そうすると腹をが割けます。

ワタは、腹の内側を時計回りにぐるりと引っ掻き、黒い膜を剥がすように動作すると一気にワタを取り除くことができます。ワタは多少残っても次の水洗いで洗い流すので安心してください。

工程4. 水洗い

工程4. 水洗い

魚を流水で洗い流していきます。この工程では前段階のワタをキレイに取り除く作業ができたり、鱗や表面の滑りを取り除くことができます。

水温は冷たいのが好ましいので冷水を使いましょう。ぬるかったり暖かいお水は魚に付いている細菌が増殖しやすくなってしまうので気をつけてください。

Q. 魚によって下処理の方法は変わる?

魚による下処理の方法は大きくは変わりませんが、水での洗い方にはポイントがあります。

基本的に水道水で洗いますが、三枚におろしてから切り口を水で洗ったりすると水っぽくなってしまうことがあります。この場合はワタや血合いを取り除いた水道水でしっかり洗うのみにしてその後は水に晒さないです。そうすることで水っぽさを避け、お刺身にしても美味しく食べられます。

しかし、同じ海水魚でもイワシの場合は水で洗うと水っぽさは特になく、逆に臭みを取り除ける効果があります。イワシをお刺身にするときは盛り付ける前に最低2回ぐらい洗うとイワシ本来の味が味わえるでしょう。

水洗いに関してはいずれにしても手際よく冷たい水で洗うことで鮮度を保つポイントになります。

魚を下処理した後の保存方法

魚を下処理した後の保存方法

魚の下処理後は、すぐに調理しない場合は保存しておかなければいけません。保存方法として冷蔵保存と冷凍保存の2通りで説明します。

冷蔵保存方法

  1. 魚の水分を拭き取る
    下処理した魚の水分をキッチンペーパーでしっかりと拭き取ります。水分が残っていると保存している間に魚が水分を含み、身が水っぽくなってしまうため注意が必要です。
  2. 1つずつラップに包む
    魚を三枚におろしたり、切り身にした場合は切った個体ごとにラップに包みます。切った個体をくっつけて一つのラップに包むと変色の原因になるからです。
  3. チルドなど低い温度で保存する
    冷蔵庫は開閉の頻度が高いため、冷蔵庫内の温度も変化しやすいです。魚の鮮度を保つためには温度が変化しにくいチルドにしまうなど冷蔵庫よりも低い温度且つ一定の温度にできる場所に保管しておきましょう。

冷凍保存方法

  1. 魚の水分を拭き取る
    冷蔵保存同様、切り身の水分をしっかりと拭き取ります。
  2. ラップに包んでからジップロックなどで密閉する
    魚をラップに包むまでは冷蔵保存と同じですが、その後そのまま冷凍庫に入れるのではなくジップロックなどで密閉しましょう。そうすることで魚がくろずんでしまうなど、酸化による「冷凍焼け」を防ぐことができます。
  3. 一気に冷やす
    冷凍庫は一度にたくさんの常温のモノを入れたら冷凍庫の温度が高くなってしまいます。それにより、冷凍した魚も急速冷凍は難しくなってしまいます。そこで熱伝導率の高いステンレスやアルミのバットに②の魚を乗せて冷凍しましょう。冷たさがより速く伝わり鮮度が高いまま冷凍することができるのです。

魚の下処理をした後の2つの片付けのポイント

魚を下処理した後の片付けは、やり方次第で生臭さが尾を引く可能性があります。

冒頭でも述べたように下処理して残った内蔵や血合いはトリメチルアミンによってアンモニア臭が発生し、生臭さの原因となります。

下処理後の片付けのポイントを覚えて快適な空間にしましょう。

1. 燃えるゴミは冷凍してもよい

次の日が燃えるゴミの日だとすぐに捨てられますが、そんなに毎回都合よくはいきません。そんな時は「冷凍」しましょう。

生ゴミを冷凍すると思うと非常に抵抗がありますが、魚の内蔵や血合いを入れる程度ですので、汚いものではありません。二重にした袋に内蔵などを入れ袋を閉じ、更にジップロックなどの密閉袋に入れて冷凍しておけば冷凍庫内の匂いも気にならずに燃えるゴミの日まで置いておくことができます。

2. 排水口や調理器具の臭いを取る

魚の下処理をしたあとはどうしても排水溝やまな板などの調理器具に生臭い臭いが残ってしまいます。その臭いはそのままにしておくと、時が経てば経つほど取れにくくなるため、後片付けに入れるようになったらすぐに掃除に取り掛かるようにしましょう。

臭みをとるにはまずは熱湯が効果的。熱湯には生臭さを分解する働きがあるため臭いを軽減できます。その後お酢をかけ水で洗い流したら終了です。

Q. 手が臭くなった場合は?

魚を素手で触るとなかなか臭いが取れず気になります。調理器具などの掃除同様にお酢をかけ、水で手を洗うと臭いは取れにくくなるので試してみてください。

ステンレスに触ると臭いが消えるとも言われています。これは魚の生臭さが鉄イオンと反応して分解されるからです。

ステンレスソープも販売されているので気になる方は買ってみてもいいかも知れません。

まとめ

今回は魚の下処理の方法や保存方法、後片付けのポイントをご紹介しました。

魚の下処理の方法は家庭でも手軽にできる手順ですので、ぜひ挑戦してみてください。

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商品は加工していたり、下処理済みのものを用意していますので、

「下処理大変かな…」というときは気軽に食べられますよ。

ぜひ、気軽にご利用してみてくださいね。

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